貧困から失われた可能性
私にとってかなり印象的な一枚。そして、変化の必要性を訴えられた出来事。
恥ずかしがって、なかなか写真を撮らしてくれなかったからこの一枚しかないんです。でも、この一枚があって本当に良かった。
私はいつもYoung focusというNGOのYoung Unlimitedという団体の中でボランティアをしています。そこはトンドのスラム街の道を挟んだ道の向かい側にあります。
この日は授業が始まる前、いつもどおり子ども達と戯れていました。そんなとき、ドアの隙間から、私たちの姿をずっと覗いてくる女の子がいました。先生が帰りなさいっていうんだけど、どうしても帰りたがらなくて、ずっとこっちを見てくるんです。このときが初めてだったけど、毎日誰かしら外から覗いてきて、ここで自分も学びたいと思っている子ども達がたくさんいます。
勉強したくてもできない
この日は先生も諦めて、『特別に少しだけ見て行っていいよ』とこの女の子が中に入るのを許してあげました。彼女は部屋の端にちょこんと座って私たちのことを見ていました。『何歳』と私が問いかけると、『14歳』と答えてくれました。本当に可愛い笑顔を持っていて、優しそうな雰囲気のある子でした。でも、彼女の足元を見ると、靴は履いておらず、足からは血が滲んでいました。正直涙が出てきそうになりました。トンドの汚い街を裸足で歩いたら、すぐに細菌が入って病気になってしまうかもしれません。様々な不安が頭を駆け巡りました。
君たちは恵まれている
彼女が帰った後、先生が生徒達に、『君たちは恵まれている。この3時間勉強できることを親に感謝しなさい』と話していました。正直価値観の違いにぶっ飛ばされそうになりました。私のNGOもスペースや資金の問題があり、今の人数が限界です。これが私のNGOの精一杯だってことも自覚をしました。
まだここには助けを必要としている人が山ほどいます。いつかこの女の子をどうにかしたい。そう強く思わされた瞬間でした。